Salsa con Sabor,Sentimiento y Ritmo #12 伝説のライブ

私の人生を変えてしまった、伝説のチータでのライブ(1971/8/26)を収録した映画
その歴史的意味については、もう既にいろいろな形で紹介されていますので、繰り返しませんが、数多いラテンレーベルの中でサルサ一本に絞ってアルバムをリリースしているレーベールはファニアしかなかったのではと思います。その数は、傍系のVAYAやインターナショナル等を入れると500は超えてしまうのではないかと考えられます。

ジョニー・パチェーコとその弁護士だったジェリー・マスッチが64年にレーベルを興し、来年には30年になりますが(なんか記念行事でもありそうだ!)、始めは小さなマイナーレーベルであったファニアを大きくした一つには、傘下のミュージシャンを集めてオールスター形式にして売り出した事にあると思います。チータのライブは、まさに伸びようとしているレーベルの勢いと、ミュージシャンの魂と、それを熱狂で受け入れるラテン・ピープルの心が一つになった瞬間でした。その、ライブをほぼ完全収録し、N.Y.在中のラテン・ピープルの生活風景とコラージュしたのが『OUR LATIN THING(NUESTRA COSA)』です。

レイ・バレットのブーガルー風の曲のオープニング。スパニッシュ・ハーレムを歩き回る子供を追いかけて行くと、空缶をパーカッション代りに叩いている少年達。チータでのリハーサルの後、”QUITATE TU”。見事な導入部で気分は一気に盛り上がります。チータの前でおどけるメンバー、路上で箱を叩きながらリズムを取るオジさんに合わせて踊るカップル。緊張のスタジオ風景も交えたチェオ・フェリシアーノ、一世一代の”ANACAONA”。闘鶏に夢中になっているオジさん達に、オーバーラップする”PONTE DURO”。

路上でドミノをしている4人組、枯れた歌を歌う老夫婦。教会の前での、オルケスタ・ハーロー。勿論、イスマエル・ミランダが唄います。”ABRAN PASO”とパチェーコのフルートが入った”Lamento Guajiro”が泣かせます。泣きの後はお笑いという訳ではないのですが、レイ・バレットの氷かき屋さんで笑った後は、再びチータへ戻り”DESCARGA FANIA”。名手ボビー・バレンティーンの素晴らしいソロをフューチャー。スパニッシュ・ハーレムの街並、街でのトラブル、ブードゥー、バザール…….”ESTRELLAS DE FANIA””INTRODUCTION THEME”で一気にラストまでいきます。

個人的には、自主上映会(そんな時代があったんですゾ!)や早稲田大学の学祭で何十回も見て(朝から晩まで3日間通いました)、余り大きな声では言えないのですが質の悪い海賊ビデオを手に入れて繰返し見ていたものでしたが、こうして正式な形でリリースされて正直驚いてしまったのです。音も画質も良いです。家でビールを飲みながら見れるなんて、ホント生きてて良かったなぁ。(時間 1:23)

LIVE AT THE CHEETAH Vol.1 – FANIA ALL STARS (FANIA 415) 1972
LIVE AT THE CHEETAH Vol.2 – FANIA ALL STARS (FANIA 416) 1972
JERRY MASSUCI PRESENTS OUR LATIN THING(FANIA 431) 1972


93/11/13 NiftyのフォーラムへUPした文章です。

VTRになったのが93年で、DVD化されたのが04年。ぼちぼち都内のHMVでも見かけるようになりました。VAMPISOULでリリースされていますが廃盤になるのも早いので見かけたら買っておいた方がいいと思います。また、「LIVE AT THE CHEETAH」は限定版デジタルリマスター盤もリリースされています。それにしてもチータから30年以上も経っていますが、サルサもずいぶん遠いところに来てしまったなぁ…と感無量です。

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