若尾文子映画祭①@角川シネマ有楽町 赤線地帯、青空娘、浮草 スクリーンや壁に共鳴したその声はまるで何かの楽器のように奏でられ眩暈

赤線地帯 1956 21
青空娘 1957 22
浮草 1959 24
溝口健二、増渕保造、小津安二郎…そうそうたる監督と若尾文子。10日間のダメだし後演技開眼した「赤線地帯」のしたたかな姿。イタリア帰りの監督による湿り気も屈託も微塵にない「青空娘」での爽やかさとおおらかさ。浴衣の柄、手の動き、泣き顔にまで細かい佇まいをみせる「浮草」。スクリーンで蘇る若尾文子の魅力を堪能していた。

声の仕組み
声帯に息がかかり、その音が共鳴腔(喉の中、口の中、鼻の中)を通りながら響き外に出ると声になるという。声を出している間は声帯は速いスピードで振動し、声帯や共鳴腔をコントロールすることによって声を変えることができる。

若尾文子の声
聴いた瞬間にすぐ分かる(私にとっても)魅惑な声。哀願するような時も、冷たくつけ放つような時も、微笑んだ時も、普通に話している時ですら、どうしようもなく惹きつけられるたぐいまれな声質。おそらく、あの独特なくぐもるトーンは声帯の湿り気、口腔や鼻腔の形から生まれて出るのではないかと想像。

この魅惑の声がスクリーンや壁に共鳴=あるいは反響した途端、心を打つ幾多のシーンに深く深い印象を与え、食い入るように見つめていた。溝口監督に鍛えられたとはいえ21歳であの完成度には眩暈すらも覚えた。

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