ナンシー・アレン今でもベタ惚れ キャリー〜殺しのドレス〜ミッドナイトクロスの再観をきっかけに大好きなブライアン・デ・パルマの映像美に改めて酔いしれる

ナンシー・アレンに今でもべた惚れ
ナンシー・アレンを知ったのは「キャリー」から。冒頭のシャワーシーンのキャピキャピしたヌード、ふてくされの課外授業、パーティーでの悪事。この映画がきっかけでブライアン・デ・パルマと結婚(1979-1983)したせいか、ナンシー・アレンの登場シーンがやけに念入りに作られているのように思える。「殺しのドレス」ではエレベーターでの殺害シーンを目撃した時の大きく見開いた瞳とマイケル・ケインを誘惑するシーン(右胸がこぼれそう)が忘れられない。「ミッドナイトクロス」は本来のタイトル「Blow Out」の方がテーマに沿っていると思うけど。わざと舌っ足らずに喋る仕草もかわいい。出てくるだけで怪しいジョン・リズゴー(デ・パルマでは愛のメモリー、レイジング・ケイン、他ではドリームガールズ、インターステラー)に殺害される時の絶叫シーンがハイライトだったが、その音源をトラボルタが音響として使用することはブラックジョーク。

デ・パルマの映画に出演したBlu-rayを一気に、特典のナンシー・アレンの長めのそれぞれのインタビューも合わせて観る。インタビューでは愛くるしい瞳、なめらかな口元、ふわふわの金髪も健在で、話の内容を字幕で追いかけるよりも表情豊かなナンシー・アレンを見つめるのに忙しかった。他には、ロボコップ・シリーズ(1987-1993)の溌剌とした姿も良かった。

ブライアン・デ・パルマの映像美
もう何度も観たはずのブライアン・デ・パルマの他の作品も勢いで一気に観始めている。やはり「悪魔のシスターズ」〜「ミッドナイトクロス」に熱愛。「アンタッチャブル」「ミッション・インポッシブル」のようなメジャーヒット作品も(主演のための映画)それなりにいいが、「ボディ・ダブル」「ファム・ファタール」のような小粒で映像センスが光る方が好み。ジョン・リズゴー主演の「レイジング・ケイン」のラストシーンでのスローモーションの緊迫感は「アンタッチャブル」よりも緻密だと再確認できた。アメリカ在住マイノリティから圧倒できな支持を受けカルト的存在になった「スカーフェイス」すら(170分の長編もあり昔は好きではなかった)ミシェル・ファイファーの再発見と共に今では愛おしい。

セリフよりも映像ので語るブライアン・デ・パルマの映像美は次のように分類できる。ヒッチコックの「めまい」「サイコ」の模倣と言われたがちと思うが、ヒッチコックの技巧はもはや映画の文法になっていると考えれば、模倣と切り捨ててしまうのはふさわしくない。左右の画面が分割されて、双方にピントが合い前後の関連性を強調するスプリットフォーカスは独自のカメラワークだと思う。

①悪魔のシスター 1972 
②ファントム・オブ・パラダイス 1974 
③愛のメモリー 1976 
④キャリー 1976 
⑤フューリー 1978 
⑥殺しのドレス 1980 
⑦ミッドナイトクロス 1981 
⑧スカーフェイス 1983 
⑨ボディ・ダブル 1984 
⑩アンタッチャブル 1987 
⑪レイジング・ケイン 1992 
⑫カリートの道 1993 
⑬ミッション:インポッシブル 1996 
⑭ファム・ファタール 2002

A:スプリットスクリーン ①②④⑥⑦⑭
B:360度旋回 ②③④⑤⑦⑧⑨
C:高速度撮影(スローモーション)⑤⑥⑩⑪⑫
D:低速度撮影 ②
E:長回し ⑥⑪
F:スプリットフォーカス ④⑤⑥⑩⑨⑫
G:フレーム・イン・フレーム ①②⑥⑧⑭
H:一人称視点 ②⑥⑦⑩⑫
I:俯瞰ショット ④⑤⑭⑩

ブライアン・デ・パルマの新作はいつになるのか、もうあの輝くような映像を観ることができるのだろうか。希望を言えば「ファントム・オブ・パラダイス」の特典満載のBlu-rayBOXのリリース(今は予告だけの寂しい内容)を熱望中。映画館で観たきりの「ブラック・ダリア」も観てみようと思っている。

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