瞬間的シックスセンス とうとう王道のポップスを創り上げてしまった

切なさと官能の原点
うわぁ、これはまるで…とドキドキする「満月の夜なら」。口の中で溶けてぬるくなったバニラの香り。溶かして燃やして潤してあげたい、次のステップは言わずもがな分かるでしょう。小さく開けた唇から洩れる曲のはじめに吸い込んだ息。。衝動を抑えきれずに迫ってくる男の子の高ぶりと変速的なリズム。

曲は詩と歌が同時にでき、まるで流しそうめんのようにサっと掬う(瞬間的な第六感)、とインタビューで話していたけど「麦わらの帽子が揺れてマリーゴールドに似てる」というフレーズは目指していた王道ポップスそのもの。できたとかんにやったぁと思ってしまったほどの自信作。タイアップなしでストリーミング3億回を超え、切なさと儚さ、マリーゴールドの花言葉は絶望だけど「絶望は見えない」と普遍的な歌声も力強い。発表半年後の武道館弾き語りの(ギターも含めての)説得力は圧巻だ。

愛しい人が誰かのものになるのを黙って見てるの嫌だからって気持ち悪いかな(ら、のはなし)、刺さったまま溶けあいたいわ(二人だけの世界)、息づかいも生々しくてむせそうになりそうだけど、陰湿な感じを受けないのは声域が広くファルセットでもヒステリックに聴こえない声質のせいだと思う。

上京して悶々としている時に傷つけられた事をきっかけにできた「ひかりもの」はあくまでも冷静に前曲「プレゼント」につなげている。優しい笑顔の裏側に知りたくもなかった顔がある、その悔しさは自らがひかりもの=脚光を浴びる存在になってからはどのように変化したのだろうか。

恋をすると周りの風景のきれいなことを知る。夕方の匂いも苦しくなる。「恋をしたから」を聴きながらふと思い出したのが、ミニー・リパートンの「Loving You」。一転して「夢追いベンガル」はストーレートなロックでデジタルも流行りもエロもいらない、とあっけらかんと歌いきっている。主題歌が2曲続くが「あした世界が終わろ流としても」のスライドギターはちょっとジョージっぽくて好き。

ドラムスがキリンジの「スウィートソウル」を思い浮かべてしまう「GOOD NIGTH BABY」は小気味いいあいみょんのリズムギターが心地よくて何度も聴いてしまっている。別れ際って楽しかった時間を振り返りながらも切ない。そんな事も思い出してしまう名曲。PAも手がけているあいみょんのパパがこの曲のギターをコピーしててうれしかったという微笑ましいエピソードもある。アルバムの最後はぶっきらぼうな「from 四階の角部屋」で締めてくるところも只者ではない。タイムリーなリリース時期で大ブレイクした「マリー・ゴールド」後の世界を見事に表現した素晴らしいアルバムだと思う。

◾️シングル
満月の夜なら 2018.4.25
マリー・ゴールド 2018.8.8
今夜このまま 2018.11.14

◾️アルバム 2019.2.13

VOGUE GIRL with GIRL FRIEND
あいみょんの素顔に迫る
本音のガールズトーク
https://voguegirl.jp/boys/boyfriend/girl-friend-starring-aimyon/