ジャイルズ・マーティンが手がけたドルビーアトモス版『Pet Sounds」の初めて聴こえる音の数々に没入

これまで何度も聴いてきたアルバム
LPで聴いて、CDで聴いて、BOXでスタジオで構築される様を追いかけて、50周年盤(写真上)も揃えて、果てしなく続く『Pet Sounds」への旅。ブライアンの頭の中で鳴っていたシンフォニーはこうだったのかと納得したり驚いたりの繰り返し。ビートルズのスペシャル・エディションのリリース監督しているジャイルズ・マーティン(昨年リリースの『REVOLVER』は素晴らしかった)によってドルビーアトモス化された。

オリジナル・アナログ・テープから創出されたドルビーアトモス・ミックスは驚くほど鮮明で、空間のど真ん中でこれまで聴こえていなかった(意識していなかった)サウンドに没入できるサウンドになっている。50周年BOXの参加ミュージシャンのクレジットとブライアンのコメントを確認しながら、深夜何度も聴いてしまった。

光と影、犬の鳴き声
前から読み返してみようと考えていた、ジム・フリージ著、村上春樹訳の『ペット・サウンズ』。この機会にドルビーアトモス・ミックスを聴きながら一晩で一気に再読。テーマごとに(曲順ではなく)語られている。サウンドの丁寧な深掘りと歌詞の意味、その双方がいかにして生まれ溶け合っているかをを克明に記されていて、改めて気がつくことばかりだ。ブライアンが音として表現したかったものが、まるでスタジオにいるかのように蘇る。ドルビーアトモス・ミックスならではの臨場感に何度もため息をついてしまった。

「愛することや受け入れられることを切実に求め、そんな人生に不可欠な要素を手に入れて、やっとそれに馴れたところで、ある日何もかもあっけなくどこかに消え去ってしまうのではないかと思うと、不安でたまらない」

「『ペット・サウンズ』は僕らの体内に共鳴を引き起こす。何故ならばそれは既に僕らの一部となり、僕らの人生の物語のこだまとなっているものだからだ」

村上春樹のあとがきに、マイク・ラブから「こんな音楽を一体誰が聴くのかね。犬にでも聴かせてやるってのか」を悪態をつかれ、それがヒントで最後に愛犬の鳴き声を入れたとブライアンの話。そうだったのか!と納得。

まだまだ、『Pet Sounds』への旅は続きそう、そんな予感がする。

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