ECMレコード サウンド&サイレンス マンフレート・アイヒャーの55年のモチーフである沈黙に次ぐ最も美しい音

The Most Beautiful Sound Next to Silence
ECMという会社名は「EiCher, Manfred)に由来し、「Edition for Contemporary Music」の略とも言われる。創立者であり全てのプロデューサーであるマンフレート・アイヒャーの美意識に基づいた創作活動はジャズを超えて、「ニュー・シリーズ」へ向かい、ジャンルを超えている。2009年に完成したこの映画は、まるでロードムービーのようにヨーロッパ〜南米を巡りながら、アーティストの静寂を描いている。

アイヒャーの制作現場に立ち会う姿、移動する揺れる風景、写真を選びタイトルを確認する振る舞い。素晴らしい音楽が生まれ出てくる瞬間や空気感がそこにある。場末の酒場で老人たちとのディノ・サルーシを中心としたセッション、ディノ・サルーシ(バンドネオン)とアニヤ・レヒナー(チェロ)の緊迫感、ジャンニ・コッシア(アコーディオン)とジャンルイジ・トロヴェシ(クラリネット)のデュオと和気あいあいとした会話、作曲したアルヴォ・ペルトとアイヒャーが見守る中でのエストニア・フィルハーモニー室内合唱団、タリン室内管弦楽団の祈り。

まるで、ECMのアルバムのように美しい映像にも惹かれて食い入るように観てしまった。上映期間が短く10/28までなので、来週時間を作ってもう一度観たい。

そういえば、映画を観る前の参考として『ECMの真実 増補改訂版』(2009年)と『ECM catalog』(2010年)《共に稲岡邦彌著及び編著)を読み返していた。真実〜は200頁も増強されて『新版 ECMの真実』(2023.4.18)、カタログは増版改訂版=今世紀最後として改訂版(2019.11.30)が出ていた。買い直そうかちょっと悩んでいる。

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