日暮泰文さん、最後の仕事 B.B. King: Great Blues Work And Hits

のめりこみ音楽起業
日暮さんの名前を知ったのは、衝撃的だった『RCAブルースの古典』の監修・解説として(中村とうよう氏、鈴木啓志ひろし氏との共同)や「ニュー・ミュージック・マガジン」の記事だったと思う。初めて接するブルースの世界を丁寧に教えてくれた文章を熱心に読んでいたものだった。緻密でブルースの背景まで踏み込む文章を何度も読み返していた。高校時代の友人が『RCAブルースの古典』をきっかけにブルースへのめり込んでいた。一方、私は、土臭い音楽を経由してウエストコースト、SS&W系を好むようになりながらも、黒っぽい音楽への憧れも持っていた。

やがて、日暮さんはPヴァインを立ち上げ、ブルース以外の例えばハイチやアフリカ音楽も紹介するようになっていた。河村要助さんの連載「サルサ番外地」の連載されていた雑誌「ブラック・ミュージック・レビュー」も毎月楽しみにしていた。

雑誌「ブルース&ソウル・レコード」はいつもは立ち読みで済ませていたり図書館で借りているが、オルガン特集に惹かれて購入。オルガン特集もさることながら、日暮さんの追悼記事の方に目がいきじっくりと読んでいる。5/30に75歳で亡くなっていたことを改めて知る。

2010.8月に出版された『のめりこみ音楽起業」は、いかにブルースに取り憑かれコンサート企画〜レコード会社創業〜マイナーレーベルとしての奮闘〜M&Aが冷静ながら熱っぽく語られ、つい引き込まれてしまった。これまで『ロバート・ジョンソンを読む』(2011.6)だけ読んでいたので、知らないことばかりで驚きの連続。82年の河内音頭(河村要助さんイラスト)、横山剣さんからの売り込み話などのエピソードも興味深かった。

「ブラック・ミュージック・レビュー」から派生した「ブルース&ソウル・レコード」のアルバムレビューには日暮さん最後の仕事『B.B. King: Great Blues Work And Hits』が紹介されている。ジャケットも強烈な初期〜絶頂期のRPM/Kent時代のベスト盤。A面はヒット曲、B面はマニア向け選曲。ギターの一撃、滑るような歌声にあっという間に最後まで聴き、もう一度聴いてしまう素晴らしい内容セレクトだ。同様に日暮さん企画で前代未聞の17CD、1LPの『The Complete RPM-Kent Recording Box 1950-1965 – The Life, Times and the Blues of B.B. in All His Glory』も手に入れたくなってしまっている。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です