はっぴいえんどの原像 サエキけんぞう/篠原章 知らなかった事、忘れてしまった事、いまもなお

はっぴいえんどの元になった姿
サエキけんぞうさんの文章はよく見かけ、割と熱心に’読んでいる。例えば、デヴィット・ボウイの 『The Rise and Fall of Ziggy Stardust and the Spiders from Mars』の紹介記事は、当時の様子を賛美することよりも、現在の音楽(サウンド&歌詞)と対比しながらその革新性や本質性に迫る切り口に気づきが多かった。

本書は、篠原章氏との共作で、テーマ別にはっぴいえんどの元になった姿=原像を時系列に辿っていく。4人が出会うまでの話はこれまであちらこちらで読んでいたけど、米軍基地とそれから発展した夜遊び人間との関わり合いが、多元的に説明されていて刺激的だった。基地周りをしていたミュージシャンがやがて独立してプロダクション設立〜歌謡曲やポップスの基礎を成したという話とは別のベクトルがあったことを知ることができた。

当時サウンドは好きだったが、個人的には「です」を多用した歌詞が馴染めなかったこともあった。また、「ニュー・ミュージック・マガジン」で論争になっていた「日本語ロック」も遠目で見てシラケテいた。日本のロックを追いかけるよりも、アメリカやイギリスの音に飢餓感を覚えていた。それらが打ち解け出したのは、高校時代にほぼ毎日通っていた「ピータパン」でラストアルバムの『HAPPY END』が繰り返しかかっていたから。

本編とは別に、コラムとして『ゆでめん』に付随していrたリストの解析、ラストコンサートの体験記も実に興味深い。そういえば、矢吹申彦さんのイラストが表紙の楽譜(コラム多数)を見ながらギターを弾いていたことも思い出した。はっぴえんどの知らなかった事、知っていた事、忘れてしまった事、思い出せない事、色々と考えてしまう昼下がり。

・はっぴいえんどができるまで
・はっぴいえんどのバックグラウンド
・はっぴいえんどと漫画カルチャー
・『ゆでめん』は『ア・ロング・バケイション』
・ミッシングリンクを埋める幻のライブ発見
・はっぴいえんどの新機軸
・3枚目『HAPPY END』の飛行状態
・はっぴいえんどは日本とアメリカに「さよなら」できたのか?

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