The Song of Today #122 信じていたい / 西田佐知子 1966

ふわりとした歌声に見え隠れする女の儚さ
塚田茂作詞、宮川泰作編曲、中期の傑作がこの「信じていたい」だ。キレのあるストリングスとバリトンサックスのリフ、乾いたスネアの音に導かれての歌い出しで、その世界に引きずり込まれてしまう。ふわりとしながら、独特のノンビブラートでやや鼻にかかった声にまとわりつくようなストリングスとグロッケン。大胆で繊細な宮川泰のアレンジも心地いい。

サビになると、リバーブが増し、ミキシングのせいか本来聴こえないはずの息づかいも聴こえ歌声も鋭くなってくる。このスリルがタマラなく何度も何度も繰り返し聴いてしまっている。それにしても、ポリドール・オーケストラのクオリティーの高さが素晴らしい。『Pet Sounds』『Rivolver』『Blonde on Blonde』と同時進行とは。どんなメンバーが参加しているか知る方法はあるのだろうか?

宮川泰の作曲した曲は、「涙のかわくまで」(編曲森岡賢一郎)1967、「あの人に逢ったら」(編曲宮川泰)1968とあり、どちらも聴きごたえ十分なサウンドを堪能できる。そして、その後に筒美京平作編曲の大傑作「くれないホテル」が生まれてくる。