ユーミン、僕の場合…

衝撃の出会い
同級生で高校新聞部の部長、A君。ニヒルで独特の考え方や、時折前髪に触れる癖を今でも思い出すけど、もう何十年も会っていない。先発で上京していた彼の部屋を初めて訪れた時聴いたのが『MISSLIM』だった。挽いたコーヒーをオレンジハウスのマグカップでブラック。うっすらと朝日が漏れてくる部屋に『MISSLIM』が流れていた。今まで聴いたことのないジャンルだったので強い衝撃を思えたのを今でも覚えている。慌てて、デビュー作の『ひこうき雲』も合わせて、もう毎日のように聴いていた。キャラメルママの繊細な音作りもまた、一体どうやって作っているのかと探りながら。

身の回りを風景を切り取るかのような瑞々しい世界観が、より深い男女の駆け引きのようなものに変化して行く。学生時代のバンドで初期作品をレパトリーにしていたり、広島時代は車の中で楽しんだりもしていたけど、その後、脇で見ててなんか凄い世界になってきたなぁ、と感心する程度のお付き合い。それでも、土曜日の夕方の「松任谷由実 サウンドアドベンチャー」は買い物帰りに聞いていて、低めの声でちょっと意地悪な話し方やその内容も楽しみだった。

今年で50周年を迎えてのメディアミック戦略。雑誌やラジオ、そしてベスト盤。流石の大御所感が出ているけど、『ユーミン万歳』は、ちょっと選曲が(個人的には)何故かピンとこない。好きだった曲が漏れていたりで歯がゆい。なもんだから、自分で Apple Music プレイリストを作って楽しんでいる。雨音に気づいて遅く起きた朝にもぞもぞしていた女の子が、今日にかぎって安いサンダルを履いて、その空しさを知る。そして、わざとパールピアスを捨てていく。この辺までが、僕の好きな(好きだった)ユーミンかな…。

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