tamago 憎まれっ子世に憚る インディーズ時代のあいみょんの輝き

tamago 2015.5.20 20歳
You Tubeの動画を見た事務所に見出されて、unBORDEの代表鈴木竜馬に紹介されるが、事務所の意向もありインディーズでのデビューが決まる。130曲のでも音源から15曲がインディーズからの2枚。当時衝撃的だった歌詞の「青春解剖純愛歌〜死ね〜」を含む1stが『tamago』。あいみょん自身が撮った写真をコラージュしたジャケットのど真ん中に玉子の寿司。そして、1曲目が♪あなたの両腕を切り落として、私の腰に巻きつければ、あなたはもう二度と他の女を抱けないわ…で始まる。打ち込みではないシンプルなバンドサウンドに乗った歌声が眩しく、それでいて冷静で落ち着いている。

女の子目線、男の子視線、女として、男として…と様々に変えているところも楽しめる。とかく、メッセージ性が強く頑張っていこう的な曲が多い中、これは新鮮に映る。「分かってくれよ」での切なさも湿りすぎていない。男女の立場で結局お互い好き加減のノロケ話を、あっさりと突き放す「お互い様やん」の小気味良さ。小型トラックで西宮から上京する時を思い浮かべそうな「夜行バス」の決意。影響されたというスピッツ(唯一ファンクラブに入っているらしい)風な「強がりました」の表情豊かさ。アルバム最後は、ありったけの死語を並べての「ナウなヤングにバカウケするのは当たり前だのクラッ歌」のあっけらかんとした笑顔。エンディングのパーティー気分も面白すぎる。かといって、♪古きよき言葉たちを忘れてしまうのだろう…とシニカル。

憎まれっ子 世に憚る 2015.12.2 20歳
まるで遺書のような「どうせ死ぬなら」には、好きな「言葉人間は恋と革命のために生まれてきたのだ」(斜陽)の太宰治も登場(恋は革命を行う原動力となっているのだろうか)。ちょっとトム・トム・クラブ風サウンドにラップ調の「泥だんごの天才いたよね」の達観した言葉、♪揺れるたびにオトナにになり、揺れるたびにオンナになる…いつの間にか A B C Dと歌われる「おっぱい」の透明感。あんみょんが描いたイラストも女の子の成長をうまく表現していると思う。古ぼけたスナックで弾き語りされるラストの「ほろ酔い」は大好きな河島英五の世界。

メジャー4枚目の『瞳へ落ちるよレコード』を聴いて以来すっかりファンになってしまい、インディーズを含めてCDを一気に揃えてしまった。CDをこんなに買ったのは何年振りだろうか?ジャケットを眺め、細かい(文字も細かい)を丹念に読む楽しみを久しぶりに味わっていたりもしている。