堀込兄弟としてのラスト・アルバム「Ten」は10枚目で10曲入り
高樹(兄)の曲を泰行(弟)の声で聴けるのもこれで最後かぁ…と思うと切ないけど、あまり作りこまない生っぽさが漂う「Ten」。今の季節に合わせたような感じでもあります。比較的短めな曲が続くと、いつかどこかでこの二人が手を組む日が来るのではないかと(希望も込めて)。エロティックで屈折した歌詞を透明な声で仕上げてきた部分がこれまで最もスリリングでしたが、「ナイーブな人々は」どこかちょっと違います。「医者が言ったよ 励ましの言葉は禁物です、って そうなの?」もう、歌い出しから持っていかれそうですが、サウンドはほんわか。最後に仕掛けもあったりしてニクイ。まだ、20回ぐらいしか聴いてないけど、やっぱりいいんだなぁ…。新譜について色々調べていたら、セルフライナーノーツと正直にインタビューされている記事を見つけました。「おしゃれ」に価値があった時代とは異なる「洗練」…うまいこと言うなぁ、とニヤリとしてしまいました。
地味に見えたジャケットもよく見ると壁に描いたような深みがあったり、30年後の二人の写真(みたいな)のあったりで意味深です。初回盤に付いているDVDは「ナイーヴな人々」のフルバージョンとキリンジゆかりの人たちのインタビューが収められていて、知らなかったエピソード満載です。今のツアーのオープニング(幕を閉じたまま演奏)の「dusty spring field」、そして、懐かしい空はまだまだ遠いと「あたらしい友だち」。静かに終わるアルバムを聴き終えると、やっぱり、もう一度始めから聴きたくなるんです。キリンジ兄弟最後のアルバムを聴き続けていた春をきっと忘れないだろう、二年前と同じに…。
▪️Ten
1.きもだめし(作詞/作曲:堀込高樹)
2.ナイーヴな人々(作詞/作曲:堀込高樹)
3.夢見て眠りよ(作詞/作曲:堀込泰行)
4.ビリー(作詞/作曲:堀込泰行)
5.仔狼のバラッド(作詞/作曲:堀込高樹)
6.黄金の舟(作詞/作曲;堀込高樹)
7.阿呆(作詞/作曲:堀込泰行)
8.手影絵(作詞/作曲:堀込高樹)
9.dusty spring field(作曲:堀込泰行)
10.あたらしい友だち(Album ver.) (作詞:堀込高樹/作曲:キリンジ)
Produced & Arranged by キリンジ
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