三等重役 1952 森繁さんがようやくブレイクするきっかけとなった映画を観ることができた

森繁さんといえば
私の観ている範囲ではTV「だいこんの花」ぐらい。竹脇無我ファンだった母親が欠かさず観ていたのを横目で眺めている程度。1970〜1977年は映画はアメリカン・ニュー・シネマを中心とした洋画ばかし観ていたし、モリシゲの持っている古く臭い人生観のようなものは受け付けなかった。小林信彦さんの「日本の喜劇人」の「第三章 森繁久彌の影」の中の森繁病を読んでもどうもピンとこなかったのは観てないから仕方がない。後日「夫婦善哉」を観てようやくこういうことだったのかと納得できたことを思い出す。

三等重役
ブレイクするきっかけとなった「三等重役」(監督:春原政久)をようやく観ることができた(シネマヴェラ:小林信彦プレゼンツ これがニッポンの喜劇人だ! 5/22-6/4)。三等重役の意味は公職追放になった社長に代わり、社長になった河村黎吉の事。前社長が復帰するかどうかヤキモキしながら実に情けない。その新社長の秘書役の人事課長が森繁さん。しみったれてセコく時には老獪なゴマスリ加減。河村黎吉のとぼけた味わいと対比するとその侘しさやへっぽこ加減がよく分かる。

これと「続 三等重役」がきっかけで社長シリーズ、駅前シリーズがスタート。こういう状況を踏まえての『夫婦善哉』だったのか、ようやく納得。図書館で「森繁久彌コレクション 2.芸談」を借りてきて読んでいるけど、ロッパ時代からの山茶花究、満州時代の志ん生・圓生とのエピソード、勝新との交流など読んでいると、これまでイメージしていた説教臭さも含めて疎遠だった森繁さんが身近に感じられてきた。

今度色々探して観てみたいリスト。

次郎長三国志シリーズ 監督:マキノ雅弘 1953-1954
警察日記 監督:久松静児 1955(宍戸錠デビュー作)
スラバヤ殿下 監督:佐藤武 1955
暖簾 監督:川島雄三 1958
駅前旅館 監督:豊田四郎 1958
花のれん 監督:豊田四郎 1959
縞の背広の親分衆 監督:川島雄三 1961
青べか物語 監督:川島雄三 1962(浦安が舞台)
恍惚の人 監督:豊田四郎 1973

小林信彦さんの『決定版 日本の喜劇人』と合わせて週刊文春の連載をまとめた『森繁さんの長い影』(2009)を合わせて読むことをオススメしたいです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です