フレンチ・ディスパッチ 待望のウエス・アンダーソンの映画 メランコリックでキュート、そして映像美に酔いしれる

テキサス経由のフランスとニューヨーカーの憧れ
架空のアメリカの新聞「カンザス・イブニング・サン」の別冊「フレンチ・ディスパッチ」に掲載される一つのレポートと3つの記事。編集部は架空のフランスの街。ファンにもおなじみのシンメトリー、横移動、ストップモーション、アニメーション、お好みのパステルカラー、モノクロ…私が愛してやまない独特の映像美にすっかり酔いしれてしまった。

憧れのフランス映画と雑誌「ニューヨーカー」からの影響をテキサス経由でフランスを舞台に戻す、趣向を凝らした構成にもニヤリとさせられてしまった。雑誌のページを捲るように、無謀な自転車レポーター、獄中の画家とモデルとなった看守との関係、学生運動家と記者と若い彼女、警察署長の息子の誘拐と天才シェフの話がまとめられている。

レア・セドゥの美しさ
常連の出演者、ビル・マーレイ、オーウェン・ウィルソン、ティルダ・スウィントン、エイドリアン・ブロディ、フランシス・マクドーマンド、マチュー・アマルリック、ウィレム・デフォー、シアーシャ・ローナン(もっと観たかった)。初参加のティモシー・シャラメとリナ・クードリーの二人の関係にもドキドキ。そして、なによりもレア・セドゥの硬質な美しさ。服役中の凶暴犯(ベニチオ・デル・トロ)を指先だけで手懐ける仕草とモデルになった時のアンニュイな姿に釘付けになってしまった。

雑誌の表紙と劇中のアニメーションを作成したのはスペイン・カダケスを拠点に活動するイラストレーター、ハビ・アスナレス。ロールエンドに数多くの作品が詳細されて思わず見入ってしまった。特に、ピアノの鍵盤に顔を埋めたそのワケは窓ガラスに空いた弾丸の穴。これらは作品とともに『カーサ ブルータス』2022年2月号に掲載中でサイトでも表紙を確認できる。
https://casabrutus.com/culture/217097

コロナの影響などで日本公開がだいぶ遅れてしまったけど、ようやく観ることができて本当にうれしい。Apple Musicでサントラを見つけて、聴きながらあれこれ思い出しながらの至福の時間。もう一度、いやもう二度ぐらいは劇場で堪能したい。

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