AIMYON 弾き語りLIVE 2022 -サーチライト- in 阪神甲子園球場(U-NEXT配信)

実家の屋上から眺めていた場所
やはり全体が観たくてU-NEXT「31日間無料トライアル」を登録。会場には行けなかったけど、当日あいみょんがどんな気持ちで甲子園に臨んだかを知りたかった。あいみょんが登場する前には意表をつく西宮市甲子園前在住の鶴瓶の口上。「わずか9年前に梅田で路上ライブをやっていたあいみょん。7年前に上京してスターになった、そのあいみょんが地元に帰ってきたんです」、なんという演出だろうか。

自分を支えてきたミュージシャン〜芸人に対するオマージュを捧げた「憧れてきたんだ」でライブは始まった。スタジオではアレンジされた曲が2020年に購入したGibson J-45一本で描かれる。なんというグルーブと力強い歌。上京して無名時代を振り返りながら自身を励ますかのような「ハルノヒ」の未来に向かう姿。「3636」の切なさ、「満月の夜なら」では秋の月が見守っていた。ステージ真上から浴びるような光の中の「裸の心」。ネイキッドなあいみょんの感情の震え。

インターバル後「梅田の路上でいちばん歌った曲」と言って始まったのが「貴方解剖純愛歌〜死ね〜」。スタジオでは軽快なロックになっていたが、路上ライブの有様を想像してしまった。紅白でもサビから始まっていた「マリーゴールド」の情感、夢のシンボル「Tower of the Sun」での涙。「甲子園球場のこの曲を歌って、すごく救われた気持ちになりました」と。「生きていたんだよね」で引き込んだ後の、弾き語り初の「マトリョーシカ」のテンションの高さにググッときてしまった。

Twitterを見た事務所の人が声をかけたという「分かってくれよ」は途中でやり直すハプニンング。弾き語りの恒例の新曲「サーチライト」のMCで「実家の屋上から甲子園の光を眺めてたあの頃の幼い私に、この景色を見せてあげたい」と。ペンライトに加えてiPhoneなどの光が交錯して会場はドリーミング。グルーブ溢れるイントロの「GOOD NIGHT BABY」、「この曲があるから私がシンガーソングライターになれるのかなと思えた」と「君はロックを聴かない」で締めくくる。

コロナ禍で声を出せない観客、それでも今の自分を伝えようと選んだ特別な場所。スタジオ盤の完成されたアレンジ(全盛期の森高っぽいところも感じられる)とは違い、ギターだけでこれまでを振り返りながらも、未来を見つめている姿の凛々しさに心打たれてしまった。完成度の高い『瞳に落ちるよレコード』後のこのライブ、これからもますます目が離せない。