ブラジリアン・ミュージック200 中原仁

ブラジル音楽との出会い
1975~76年ごろにサルサと同時にブラジル音楽の国内盤が豊富に出始めて、マルチーニョ・ダ・ヴィラ、ベッチ・カルヴァーリョなどを友人から借りてカセットでサルサと併用して毎日聴いていた。ブラジル音楽の懐の深さは心地よく、その後、『ボサノヴァの歴史』(ルイ・カストロ、国安真奈訳)とジョアン・ジルベルトをきっかけにボサノヴァ、遡ってショーロやノエル・ローザ、渡米する前のカルメン・ミランダも掘り下げていた。エリゼッチ・カルドーゾのライブ盤もだいぶ苦労して手に入れたことを今でも思い出す。長年に渡りトップクラスの創造力でいつも驚かされるカエターノ・ヴェローゾの存在も大きい。

サルサがセンティミエントならブラジルはサウダージ。戻らない過去とこれからの未来の合間に浮かぶ情感のようなもの…として私は捉えている。国士が広く、各地域地域によって風土が異なるように音楽も感触も違って映る。その全てを知ることはなかなか大変であり、優れたガイドブックに頼ってしまう。中原仁さん監修の『21世紀のブラジル音楽ガイド』(2018.7)は、今のブラジル音楽を生き生きと紹介してくれて、とても参考になり、新感覚の音楽を知る喜びも感じていた。

昨年暮れに出版された『ブラジリアン・ミュージック200』(中原仁著)は、ブラジル独立200周年記念で名曲200曲というコンセプトで、1899年のカーニバル・ソング第1号から21世紀まで幅広く紹介。演奏に偏りがちな聴き方に対して、歌詞と曲の背景を丁寧に説明してあるのが、まずありがたい。しかも、オリジナルとカバーのアルバム紹介されて聴き比べもできるようになっている。

PART 1 20世紀前半の名由52
20世紀初頭、ピシンギーニャ、ノエル・ホーザ、カルメン・ミランダ、ドリヴァル・カイミ、サンバ・カンサォン、ショーロ…
PART 2 サンバ/ボサノヴァ/MPBの名曲128
ジョビン、ジョルジ・ベンジョール、シコ・ブアルキ、カエターノ・ベローゾ、ミルトン・ナシメント、60〜70年代、カルトーラ…
PART 3 80年代~21世紀の名曲20

80〜90年代、バイーヤ

巻末にもプレイリストが紹介されているが、12曲だけでは足りないため、年末から正月にかけて、紹介されている曲をApple Music プレイリスト。興味があるまたはよく知っているところから聴き/読み始めている。オリジナルの良さを十分に生かしたカバーも聴きごたえがあると同時に数多くの発見もあり、先急がずにじっくりと進めていこうと考えている。

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