ディランと私
ディランのことを意識し始めたのはいったいいつ頃だろうか。ジョージの「バングラデシュコンサート」でゲストに出てきたときには、当時中学生だった私にはディランが登場する意味がよくわからなかった。神経質な佇まいと、ジョージ、リンゴ、レオン・ラッセルの神妙な様子との対比が奇妙に映った。ザ・バンドの1stのジャケットも同じように奇妙に思えた。始めて手にしたアルバムは『Planet Wave』はザ・バンド目当てだった。その後、遡って過去のアルバムを聴きながら、片桐ユズル中山容訳の「全詩集」を読んで、ようやくディランのことが分かりかけていた。
75年以降、サルサしか聴かなくなってしまったのでディランとは疎遠になってしまったが、2006年の『Modan Times』から再び聴くようになり、2020年の『Rough and Rowdy Ways』は熱心に聴いていた。
熱狂的なファンではないにしても常に気になる大きな存在のディラン。北中さんのこの本は、2021年にリリースされた『ビートルズ』同様、静かな語り口ながらもディランの本質に迫る内容だ。その音楽がどこから生まれどこに向かって行っているのか。北中さんはあとがきで入門書と書かれているが、私にとっては見失っていた事柄や、新しい気づきも多く本当にためになる内容だ。明日のコンサートの前日に読み終えることができ幸せな気持ちでいっぱいだ。
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