Delta Sweete / Bobbie Gentry 1968.3

早すぎた世界観
前作の大ヒットから約半年でリリースされた2ndアルバムは、より南部色を強め、さらに、彼女の子供時代の憂鬱な思春期の世界を呼び起こしながら、喪失、幻想、そして人生に対する彼女の魅力をさらに深めた、日常生活の慣習の滑稽な不条理が描かれている。サウンドは、ジェームス・バートン(エルビスのTCBバンド)、ハル・ブレイン、マックス・ベネット、アール・パーマーなど錚々たるメンバーで作られ、シュールなストリングスと本人のギターによく溶け合っている。しかも、コンセプトやアレンジも本人が手がけていると思うと早すぎた傑作なのではないかと。当時のレーベルに、ボビーのこの世界観を理解できていなかったと思うと残念で仕方がない。

2020年にリリースされたデラックス・エディションはオリジナルのリマスター、モノバージョンに加えてアウトテイク、デモが含まれている。特に、本人のギターのみで歌われるデモの味わい深さが心にしみ、春先にはこればかり聴いていた。このままの路線で、仮にベアズヴィルサウンドに出会うことができたら…もしかして、ボニー・レイットの2nd『Give It Up』(1972)のようなサウンドを創り上げたかもしれないと妄想してしまっている。

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