Joni Mitchell / Archives – 3 The Asylum Years (1972-1975)

Graham Nash David Crosby Session (71.12.13) ①
For The Roses demos (late 71/early 72) ①
Live at Carnegie Hall (72.2.23) ①②
For The Roses early sessions (72.4.16-21) ②
Live at Royal Festival Hall (72.5.5) ②
For The Roses sessions (72 7-8) ②
For The Roses (72.11)
James Bay Benefit Concert (73.4.15) ②
Court and Spark demos (73 Summer) ③
Wild Tales [Graham Nash] Session (73.8.25) ③
Tonight’s The Night [Neil Young] Session (73.8.26) ③
Court and Spark sessions (73 9-10) ③
Court And Spark (74.6)
Live at Dorothy Chandler Pavilion (74.3.3) ③④
Live at New Victoria Theatre (74.4.22) ⑤
Live at Wembley Stadium (74.9.14) ⑤
Miles of Aisles (Nov 74)(Live 74.3.2)
The Hissing Of Summer Lawns Demos (75) ⑤
The Hissing Of Summer Lawns sessions (75) ⑤
The Hissing Of Summer Lawns (75.11)

大きく舵を切ったこの時代
極私的なアルバム『Blue』リリース後、名声を避けるようにして、母国のブリティッシュ・コロンビア州のサンシャイン・コーストに小さな石造の家で暮らすようになった。海岸沿いの家は、リビングと屋根裏だけのシンプルな佇まい。今回のアーカイブボックスの中には建物や部屋の様子、そして『For The Roses』の内ジャケのヌードの別テイクも収められている。「最近の子は脱いじゃうから私も脱いじゃえっ」という軽いノリだったみたいだけど、当時の私には驚きだったのをよく覚えている。

人気のない場所で風の音や窓に当たる枝の音、家の前に現れた不思議な人物などにインスピレーションを受けた曲の数々。トム・スコット、ウィルトン・フェルダーの参加でサウンドが大きく変わろうとしたアルバムは今も新鮮な手触り。続く『Court and Spark』では当時のジャズ〜フュージョン関連のミュージシャンが独特の浮遊感を演出。『The Hissing Of Summer Lawns』は前作を踏襲しつつも、アフリカン・ドラムをサンプリングしたループにムーグ・シンセの低音を乗せシュールな歌詞を乗せてしまった「The Jungle Line」などの新次元。デイヴィッド・バーン&イーノに先駆けること6年。当時の私はサルサを知るか知らない頃でうまく理解できないでいた。

毎年決まった頃に届くアーカイブ・ボックスを1年間楽しみにしている。大きく舵を切ったこの時代、『For The Roses』ではトム・スコットが奏でる音を予測したようなスキャットを含むデモ、観客とのやり取りをケラケラと笑いながら進める声の愛らしさ、恋仲だったJTとのイチャイチャぶり、デモでほぼ完成していたような『Court And Spark』、ニール・ヤングとの無骨なセッション、やっと曲順が分かった『Miles of Aisles』(ボックスには翌日のライブを収録)、「The Jungle Line」の原型、水着姿のアウトテイク…聴きどころ満載、見所満載、キャメロン・クロウとのインタビューも読み応え十分。

ああ、各ジャケット、ボックスの装丁画を手元に置きたいのでLPセットを買おうか…激しく思案中。そして、来年は『Hejira』から始まる異次元の世界のボックスになるとしたら、もう、来年暮まで待てないので夏頃にリリースされないかな…。そうそう、ジャケットに使われた絵の、LPサイズの画集とか出ないだろうか(公式サイトには一部ある)、などこのボックスを聴きながら考えることがたくさん。