もう九一歳になりました
中原弓彦名義の『世界の喜劇人』(1972)~文庫版『世界の喜劇人』(1983)を愛読している私。『決定版 日本の喜劇人』に続く『決定版 世界の喜劇人』が出版されるとは思ってもみなかったのが正直なところ。全面的に加筆修正を施し、2部にこれまで週刊文春などの連載に発表された評論を加えた、文字通りの決定版。今は、DVDや配合で古い映画が見られる時代だが、文庫本が出た頃でもレンタルはまだ普及してなかったはずなので、こういった本は貴重で何度も何度も読み返していた。
あとがきの最後に「もう九一歳になりました」とあり、急にしみじみしてしまったが、出版を記念した映画祭では、『モロッコへの道』の上映前に特別インタビューがあり、小林信彦さんらしい辛辣なコメントが聞けてうれしかった(インタビュー前の音声が漏れてきてワクワク感もあり)。また、同映画を一緒に見る機会もあり、退場する時には自然と大きな拍手が沸き上がり、皆思うところが一緒だと思った。
もしかして、これが最後の著書になるのだろうか?お姿を見る最後になるのだろうか?…
と考えながら、映画館で求めたこの本のサインにしみじみしてしまった。
■「小林信彦セレクション『決定版 世界の喜劇人』刊行記念 ザッツ・コメディアンズ・ワンス・モア!」(2024/03/30~2024/04/19)(渋谷シネマヴェーラ)
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