出会いはスティッフレーベルのシングル盤から
学生時代、今は音信不通=行方不明の友人がいてあまり音が好きではなかったけど突然音楽に目覚め、狂ったようにスティッフのシングル盤を集めていた。そこで知ったのがニック・ロウの存在。サルサにどっぷりだった私にも、ニック・ロウのキャッチでヤンチャなポップ具合が心地よくて、『Jesus Of Cool』も愛聴していた。同時にブリンズリー・シュウォーツの曲をガンボさんと演っていたりもしていた。背が高くてハンサムな姿にも憧れ、『Nick Lowe and His Cowboy Outfit』のジャケット似のBIGIのスーツを買ったりも。
1ヶ月前に前から読もう読もうとしていた「恋する二人 ニック・ロウの人生と音楽」をようやく手にして、アルバムを聴きながらじっくりと読んでいた。ロックやカントリー、ソウルまでの組み合わせたポップ感覚。そしてイギリス人にしか出せないユーモア。それらが、どうして生まれたかを、本人が自ら語るスタイルではなく、友人のウィル・バーチの手を借りて克明に綴っていく。既成の音楽シーンを独自の手法で切り開いていく。決して大袈裟にならないところもニック・ロウらしいなぁと感心してしまった。
ジョン・ハイアットやライ・クーダーとの交流、カーリン・カーター(ジョニー・キャッシュの娘)との結婚あたりは初めて知った話。もしかして、テイラー・スイフトらのニュー・カントリーの基本はもしかしてニック・ロウというイギリス人が準備していたのかもしれない。
大手のレコード会社との契約に縛られずに製作された『The Impossible Bird』から始まる90年代以降のアルバムはどれをとっても素晴らしい。体に染みついたアメリカ音楽の影響はカントリーだったりR&Bだったりロックだったり、熟れすぎた洗練のように感じてしまう。それがオールド・マジックということになるのだろうか。
The Impossible Bird 1994
Dig My Mood 1998
The Convincer 2004
At My Age 2007
The Old Magic 2011
名曲の弾き語り、黒縁メガネ(どこのブランドだろうか?)と魅惑的なヘアースタイル、思わず憧れてしまう。ピックを使わない独特のストロークも心地いい(ベースはピックを使う)。覆面バンドロス・ストレイドジャケットとの新譜ももうそろそろリリース。今から楽しみでしょうがない。
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