レッド・ツェッペリン:ビカミング生い立ちから成功までの軌跡

Whole Lotta Love の衝撃
初めてレッド・ツェッペリンの曲を聴いたのが友人宅での「Whole Lotta Love」だった。
キャッチーなリフや左右に振られたギター、ドラムのブレイクからいきなり飛び出すギター・ソロ。恍惚の瞬間だった。これがロックかあ..と悶えてしまった。ところがその後の「Immigrant Song=移民の歌」の「あぁあ~」の叫びになじめなく、レッド・ツェッペリンを追いかけることもなく、泥臭いアメリカン・ロックやバーバンクサウンドに向かってしまった。

2014年以降発表のジミー・ペイジがマスターテープからリマスターしたアルバムを1〜4thまで聴いて、初めて知ってから半世紀も経ってようやくレッド・ツェッペリンの革新的な姿を理解することができた。スタジオミュージシャンとして積み重ねた経験を生かしたサウンドメイキングは他を寄せない。音作りに苦心したドラムの音はまるで目の前で叩いているようだ。どんどん進化しプログレのような展開になっていく前の、ありのままの姿のブルースロックな1stに心躍る。ギターブレイク~ハイハット〜ダイナミックなドラムフィルから始まる「Good Times Bad Times」をリアルタイムで聴いていたら、その後の音楽趣向も変わっていたかもしれない。フォークやトラッド、インドまで俯瞰したサウンドの芽生えも、当時まったく分からなかった。

IMAXの奥行きのある音でレッド・ツェッペリンの生い立ちから成功までの軌跡は、知っていること以上に初めて知ったことばかりで食い入るように見えてしまった。そして、実に4人ともいい顔しているなぁ。特に、ジミー・ペイジってアイドル並み。そのくせ、アトランティックとの契約ではしたたかさもあり、色々うなずいてしまった。32歳で亡くなったジョン・ボーナムの貴重な肉声~ダイナミックで躍動感に満ちたなドラムの素晴らしさを再確認できたことも、この映画ならではだと。