クリエーターとパフォーマーの比重
一般的な評価を得られなかった2nd。3rd以降コンスタントにアルバムをリリースしていくが、どうやらキャピトルはシンガー&ソングライター的な魅力よりもパフォーマーとしての存在感を求めていたようで、オリジナルよりもカバーの比重が高まっていく。ライブ、TV番組(BBCの68年ライブは後日リリースされた)、グレン・キャンベルとの共演など充実していたように思えるが、彼女の中にある欲求は満たされていなかったのではないかと想像している。
スタジオ6枚目の『Fancy』は、マッスル・ショールズで数々の名曲を生み出したリック・ホールをプロデュースに迎い入れ、バンドの選択からジャケットに至るまで彼女の意向に従った内容になった。オリジナルはアルバムタイトルの「Fancy」のみだが、ジェームズ・テイラー、レオン・ラッセル、ローラ・ニーロ、ニルソンの曲の南部的解釈が聴きごたえがある。ルディ・クラークの「If You Gotta Make a Fool of Somebody」(ボニー・レイトが2ndでカバー)もソウルフルで味わい深い。
幻のアルバム
実は4枚目『Touch ‘Em With Love』の前の1969.2〜3月に、ジャズやゴスペルをベースにしたアルバムのセッションがあり、後ほど紹介する予定のボックスセットで発見され、後日単独で『The Windows Of The World』としてリリースされた。ビリー・ホリディの「God Bless The Child」をはじめ、しっとりとして熟達した歌が素晴らしい。これが正式にリリースされていたら、ボビー・ジェントリーへのその後の評価も大きく変わっていただろうと思うと残念でたまらない。
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