タブレット純と巡る聖地純礼

私も大好きなムードコーラス
近所の図書館で偶然手にした『タブレット純のムードコーラス聖地純礼」は、ちょっと不思議な本人の姿と乙女チックなイラスト。幼い頃、TVから流れる歌謡曲には、大の男が裏声で一本のマイクに向かってコーラス、時折不思議なギターの調べ(当時はスチールギターとは知らなかった)にちょっと気持ち悪さを思えていた。所謂洋楽と呼ばれていたシングル盤を集め始めていた自分には違和感しかなかった。ところが、しばらく経つとその良さが沁みてきてすっかりムードコーラスのファンになってしまった。

タブレット純、和田弘とマヒナスターズの後期に田淵純として加入。その後ムード歌謡漫談として活躍中と紹介されているが、全く知らなかった。1974年生まれだから、ムードコーラスには全くの後追いながら、幼い頃からラジオで古い歌謡曲に憧れ、ラジオのエアーチェック、中古シングル盤漁りを経て、かなりの博学マニアックぶり。満を期して始めたのが聖地純礼。各グループの主要メンバーへのインタビューを骨格に聖地巡礼(東京、大阪、長崎、北海道)とカルトコーラス残響伝を絡めた二本立てに興味津々。聖地は既に別のビルになっていたり更地になってしまっていたが、昭和30年代のナイトクラブ〜キャバレーなどの風俗も楽しく(小林旭の渡り鳥ともシンクロ)、かなりマニアックなカルトコーラス残響伝の資料性も高い。

元々はハワイアンやラテンだったせいもあって私自身も好きになったのだろう。Apple Musicでプレイリストを作ってみたけど、マヒナとロマンチカ(レキントギターと三條正人の細かいビブラート)に改めて痺れてしまっている。森雄二とサザンクロスの「母性本能」のマンボチャチャチャ風のリズムも中々のものだと思う。

松平直樹、マヒナスターズを語る(元ハワイアン)
棚橋静雄、ロス・インディオスを語る(元ラテン)
大川光久、ロス・プリモスを語る(元ラテン)
敏いとう、ハッピー&ブルーを語る(元ラテン)
宮路オサム、殿さまキングスを語る(元コミックバンド)
平和勝次、ダークホースを語る(元漫才師)
宮本悦郎、クールファイブを語る(元キャバレーバンド)
鶴岡雅義、東京ロマンチカを語る(元ラテン)

意外と驚きの発見も
『GS聖地純礼」は、ライブではストーンズなどのR&B風の曲を演りながらTVではアイドル=歌謡曲だったGSの短い歴史を緩めに辿る。それでも、原宿クロコダイルの社長の話は、クロコにサルサ見たさ=踊りたさに通った身としてググッと前のめりで読んでしまった。聖地を辿る「ザンガイ感」もあるんだろうな、きっと。GSなら以前紹介した近田春夫の『グループ・サウンズ』の方が統計的かつマニアックだと思うけど、こちらのアプローチも悪くないと思う。

全く知らなかったローヤル・レコード
昭和40年代のマイナーレーベルがローヤル・レコード。最大のヒット曲が増位山の「そんなゆうこに惚れました」以外は待った知らななったレーベル。まして、創立者が入れ込んでいた椿まみさんのことは初耳。Apple Musicには微塵もなく、YouTubeに数多く(ありがたいことに)UPされているのを聴きながら一気に読んでしまった。ここはひとつ一肌脱いでローオンのようにローヤル・レコードのコンピレーションでも作成して欲しいな。サルサでいえばBorinquenレーベルのようなものだろうかと考えると、興味津々だ。

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