エリスとトム ボサノヴァ名盤誕生秘話 あのアルバムの誕生にはこんな真実があっただなんて

二人の人生が奇跡的に交差
28歳のエリス、46歳のトム。何度も聴いていたアルバムの印象は、二人の出会いは必然的でそれぞれの音楽的ピークを飾る作品だった。ところが、二人の音楽性は互いに違うベクトルを向き、アルバム作成自体が頓挫しそうになっていたなんて知らなかった。

音楽的な主導権はキャリアや実績からみてトムにあると思いきや、エリスの当時の夫であったセザール・カマルゴ・マリアーノの存在が大きく、トムとの確執が生まれてしまった。映画では分かりにくいけど、とても読み応えがあり丁寧なパンフレットを読むと、トムが影響を受けていたジョニー・アリフとセザールとの関係とレオ・ペラッキの存在によって、トムとセザールの関係が溶解した。

ボサノヴァのアルバムと捉えられがちだが、ボサノヴァが生まれる前のサンバ・カンソンの流れにあるように思える。これは、ジョアン・ジルベルトにも言えると思う。「三月の雨」はジョアンが有名だが、一番初めにカバーしたのはエリスだったことも忘れられないが(『elis』1972)、トムとの生き生きとした掛け合い〜後半のアドリブや笑い声もキュートなこのアルバムバージョンが大好きだ。映画では歌い終わってエンディングの口笛がちゃんと音符になっていてトムが驚いているシーンも印象的だった(ピアノの音ではなく口笛だったとは!)。

色々確かめたかった部分もありもう一度観たかったけど、ディスクユニオンが絡んでいるのでソフト化されると思うので、その時を楽しみに待っていよう。