DUNE IMAXレーザーで知るドゥニ・ヴィルヌーヴの描く深層心理に強く働きかける新しい映像体験の始まり

異なった振動数と母息子の関係
うごめくような砂漠波を起こすサンドワーム(砂虫)、女体を思わせる砂丘の起伏と風紋、香りまで伝わるスパイス、ブンブンと唸るオーニソプター、ハイテクなスティルスーツ…。初めてTOHO日比谷(IMAX)で観た時はこれまで経験したことのない映像体験に驚いたまま観終わってしまった。

それでも高ぶりが収まらずに今日TOHO新宿(IMAXレーザー)でもう一度体験してきた。IMAXレーザーの驚異的音圧12chサウンドシステムと大画面を浴びるような映像にただもう圧倒されてしまった。まるで砂漠が生きているかのような音響、スピリチュアルなハンス・ジマーの音楽(クリストファー・ノーランのダークナイトシリーズ、インセプション、インターステラー、007/ノー・タイム・トゥ・ダイ)をたっぷりと再体験できた。

ポール役のティモシー・シャラメの少女的な顔立ち、母ジェシカ役のレベッカ・ファーガソンの硬質な表情が特に印象的だった。物語として父と冒険する過程で成長していくことが多いのだが、DUNEは母との冒険。気になったのがポールがスティルスーツに着替える時の母の視線の外し方、スティルスーツをポールに着せてもらっている時の恥じらい方などが母息子の関係とは違う何故か近親相姦的に近い性的なものを感じてしまったのは私だけだろうか。そして、これからチャニも含めて三人の関係がPART2ではどうなっていくのだろうか。

ドゥニ・ヴィルヌーヴの描く深層心理に強く働きかける新しい映像体験の始まりに今なお興奮が冷めいらず高ぶっている。TOHO新宿(IMAXレーザー)は来週10/28までは上映しているので、もしかしてもう一度見に行くかもしれない。

■DUNE 砂の惑星
https://wwws.warnerbros.co.jp/dune-movie/

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昨日デヴィッド・リンチのDUNEを数十年ぶりに観た。さんざんな評価とリンチ本人も失敗だったと認めているが、実はそんなに悪くない。もちろん、駆け足の編集(特に後半)、チープな作り物(宇宙家族ロビンソンを思い出す)が目につくくけど、ハルコネン男爵(ケネス・マクミラン)のシーンはリンチらしい変態・暴力性・攻撃性を十分に感じることができる。

ディーン・ストックウェル、エヴェレット・マッギル(ツインピークスのエド)、ジャック・ナンスといったリンチのおなじみさんも出ているし、なんと言っても美しいショー・ヤングを堪能できるのもうれしい。

自伝の『夢見る部屋』では「デューンはいろいろ違った形でいろいろなものを私から奪っっていったけど、ディノと知り合えたのは制作の悪夢の代償として十分だった。それに、おかげで「ブルーベルベット」ができた」と章を結んでいる。…というワケで「ブルーベルベット」も久しぶりに観てみたい。

深夜寝付かれず、ベッドの中でドゥニ・ヴィルヌーヴの『ボーダーライン(SICARIO)』(2015)、『メッセージ(Arrival)』(2016)を立て続けに二本立て。共に日本語タイトルよりも原題の方が映画の主題に近いと思う。特にSICARIOは殺し屋。悪の温床にやりきれない思いが残る『ボーダーライン』。宇宙人と会話するうちに過去と未来を行き来する『メッセージ』。ヴィルヌーヴの映画は大きな起伏や派手な画面作りを抑えてじわじわとくるから観終わった後に残るものが多い。

『メッセージ』のエイミー・アダムス』ってグレイス・ケリー系の美人だなぁ…と見とれていたら、ジェレミー・レナーと共に『アメリカン・ハッスル』(2013)に出ていたことを思い出した。あのバットマン役のクリスチャン・ベールの怪演、弾けているジェニファー・ローレンス、思わずニヤけてしまうほど色っぽいエイミー・アダムをもう一度観たいな。
(2021.10.23 8:30追記)

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