60年代昭和歌謡名曲ランキング TVから流れる曲を何も知らずに聴いていた

幼稚園から小学校まで
強烈な音楽体験があったわけでなく、ただ漠然とTVから流れてくる音楽を無意識に聴いていたのが私の60年代。昨年は昭和100年にあたり、レコード・コレクター誌での「60年代昭和歌謡名曲ランキング」という特集で、当時を振り返ってみた。TVではやや短めの楽曲を改めてApple Musicで聴いてみると、歌唱の素晴らしさとバックのサウンドが生き生きとしていたのに驚いてしまう。アメリカンポップス、ラテン、ジャズ、R&B、フレンチポップなどのいわゆる洋楽のおいしいところを咀嚼しながら、独特の切なさを盛り込んだサウンドに痺れてしまう。

個人的に好きだったのが、いしだあゆみ、ピンキーとキラーズ、ザ・ピーナッツ、クレイジーキャッツ、黛ジュン、西郷輝彦、荒木一郎、ザ・スパイダース、ヴィレッジ・シンガーズ、伊東ゆかり、ヒデとロザンヌ、弘田三枝子、中村晃子、「真赤な太陽」の美空ひばり。お姉さん、お兄さんとして見ていた気がしたが、いしだあゆみと中村晃子は特に印象的でちょっと憧れてもいた。一方で、加山雄三はあまりにも眩しく、手に負えない遠い世界の人のように感じられた。

それよりも鮮明に覚えているのは、近所に下宿していた若者のことだ。窓を開け放した部屋から、いつも城卓矢の「骨まで愛して」が流れていた。流れていたというより、本人が大声で歌っていたのかもしれない。その歌声と路地の風景が、今でも不思議なくらい一緒になって記憶に残っている。

もちろん筒美京平さんのことは知らず、遡って再発見して大好きな曲を作っていたと知って驚いてしまった。歌のうまさと美貌ではダントツの西田佐知子も当時には意識がなかったのは、子供だったせいだろう。一世を風靡したGSも自分には無縁に感じていたし、小林旭の魅力を知るのは高校生以降だったのが、ちょっと残念。

日野てる子、園まり、奥村チヨが好みだった父親に対して顔をしかめていた母親の顔を急に思い出してしまう。その父親が高度成長期の中、寝る間も惜しんで家族のために一生懸命働いていたと思うと、自分自身、それほどまでだったかどうかと考え込んでしまう。